インボイス制度がはじまりましたが、今回インボイス登録をされ、初めて消費税の納税義務者となった個人事業主の方々は今までやったことがない追加作業となるため、不安に思っている方も多いと思います。
そこで今までご自身で確定申告をされていた個人事業主の方で、2023年の10月より新たに消費税の納税義務者となった方の消費税の確定申告について、気にされているであろう点を簡潔に記載させて頂きます。
いくら納めるの?
気になる税額ですが、インボイス登録をすることで消費税の納税義務者となる方々については、2023年に限って言えば10~12月までの3か月しか消費税の対象となる期間がないため、はじめはそこまで大きな負担感を感じる方は多くはないと思います。
さらに、以下のすべてに当てはまる方は、経過措置である特例計算を選択することで簡便的に消費税額を計算することができます。
- 今まで年間の売上が1,000万円以下で今後も1,000万円を上回ることのない個人事業主
- インボイス制度開始によりインボイス登録をした
- 業種が卸業以外の事業
- 利益は出ており、今年大きな買い物をしていない
気になる特例の計算式は、
税込み売上高 ÷ 1.1 × 2% です。
(軽減税率の売上がある場合、軽減税率部分については税込み売上高(軽減) ÷ 1.08 × 1.6% となります)
つまり売上に係る税抜き対価の2%(1.6%)が納付すべき消費税の額となります。
例えば10/1~12/31までの税込み売上高が220万円であった場合(すべて10%売上の前提)、この税込み220万円を1.1で割り返して計算した税抜き200万円に2%をかけた4万円が、納付すべき消費税となります。
3年間、経過措置という特例がありますので、いくら納めるの?というゴールの数字は比較的簡単に計算することができます。
どうやって申告書を作るの?
納付しなければならない金額を把握したところで、次はどうやって申告書に記載するかですが、クラウド会計ソフト上で作成できます。
重要なのは会計ソフト上で、以下のような設定をすることです。
- 消費税の納税区分が課税の設定になっているか
- 売上の勘定科目に消費税のコード(例えば「課税売上10%」、「課税売上(軽減)8%」)が正しく設定できているか
- 雑収入などの売上以外の収入にも消費税のコードが設定できているか
- 2割特例で計算する設定になっているか
上記の設定ができていれば、会計ソフト内にある消費税の計算の画面指示に従って進むことでそこまで苦労せずに申告書を作成することができます。
先ほど計算した理論値と申告書の納付金額を比較して頂き、金額が概ね一致するようであれば、会計ソフトで作成した申告書の金額は正しいものになっているかと思われます。
その後は、そのまま会計ソフト経由で電子申告をして、納税手続きをする流れとなります。
その他注意点
- 対象期間:2023年の消費税を集計する期間は、2023/10/1~12/31となります。1年分を計算しないようお気をつけください。
- 勘定科目:課税10%売上と軽減8%売上の取引がある場合には消費税コードを分けて管理する必要があります。
- 電子申告:電子申告をする際には、マイナンバーカードが必要となります。今年はインボイス初年度ということもあり、確定申告時期には税務署は例年以上に混雑することが予想されます。そのため電子申告を検討されることを強くお勧めします。
- 申告期限:所得税の確定申告期限は3/15ですが、消費税は3/31となります。消費税の方が、少しゆとりがあります。
まとめ
今回の記事はあくまで2023年分の消費税の確定申告に限った内容であることはご留意ください。
また、上記説明を聞くと消費税の計算は簡単だと思われるかもしれませんが、これはインボイス制度を普及させるために、限られた条件下の方に限られた期間だけ適用できるものであるためです。
現行の消費税はかなり複雑なものとなっており、かつ間違えると大きなインパクトが生じることが多々あります。売上規模が増えることが見込まれる場合は、税理士への早めの相談をご検討ください。
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